第Ⅱ期、社会福祉の拡大期は、第Ⅰ期の終結期に国民皆保険皆年金制度が成立したことを踏まえて、福祉サービス法の整備と年金補完制度の導入というかたちで始まった。その背景にあるのは、社会保険を一般階層に対応する防貧施策、社会福祉のうち公的扶助(生活保護)を貧困階層に対応する救貧施策として位置付けることを前提に、福祉サービスを一般階層と貧困階層の境界線ないし端境線上に位置し、幼弱、母子、障害、高齢などに特色付けられる低所得階層に対応する防貧的施策として位置付けようとする政策設計思想であった。この設計思想は、従来の福祉サービスを公的扶助の現物形態による提供とみなす思想から離れ、福祉サービスを社会保険、公的扶助と並ぶ独立した施策として位置付けようとするものであった。これによって、福祉サービスは救貧施策としての公的扶助から分離し、所得の有無や大小とは切り離され、一般化される可能性を含む施策として発展するきっかけを確保することができた。
実際、福祉サービスは、従来の児童福祉法・障害者福祉法に加え、昭和三五年の「精神薄弱者福祉法」、同三八年の「老人福祉法」、同三九年の「母子福祉法」を包摂することになる。これによって、従来の生活保護法、児童福祉法、障害者福祉法からなる福祉三法から「福祉六法」と呼ばれる体制が整備された。この時期以後、福祉サービスは、予算的にも、施設数、職員数、利用者数などにおいても、公的扶助(生活保護)を超える施策として発展することになる。