改革期における重要な変化の一つは、従来、社会福祉サービスでは、国や地方自治体が福祉行政としてまたは認可された民間社会福祉法人により供給されていたものを、その枠の外側に新たに供給主体が参入してきたことである。そのような新たな供給主体は、有料老人ホーム、福祉公社方式、民間サービス組織に分類することができる。
法令による社会福祉の枠外において福祉サービスを提供するこれらの組織や団体は、いずれも戦後改革以来の福祉三法、福祉六法、そして「社会福祉事業法」によるわが国の社会福祉が六〇年代の拡大期を経過してある種の飽和状態に達し、その骨格に遡る改革が求められるという状況の中で出現したものである。従来の福祉サービス供給システムを攪乱するという側面をもつとして批判されることが少なからずあったが、今日から顧みれば、社会福祉に新たな展開を促す側面をもつものでもあった。