わが国における社会福祉は一九八〇年代を分水嶺として新たな時代、改革期を迎えた。それは、六〇年代以降の高度経済成長を背景に構築されてきた福祉国家体制、その中での社会福祉の展開を低成長期ないし安定成長期を迎えた社会、経済、政治、文化の変容に適合するように変革させる試み、社会福祉の改革が始まった時代であった。八〇年代における改革は、概括的にいえば、
・ 社会福祉における施策対象の「普遍化(一般化)」
・ 自立自助理念の強調、利用料負担の応能化にみられる「自助化」
・ 福祉公社、民間互助団体など福祉サービス機関の「多元化」
・ 社会福祉行政の「分権化」
・ 規制緩和などの「自由化(脱規制化)」
・ 在宅福祉サービス推進にみられる「地域化」
・ ゴールドプラン等に象徴される施策の「計画(行政)化」
・ 保健、医療、教育、福祉の「総合化」
・ 社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士など社会福祉関係職の「専門職化」
として整理することができる。
平成二年制定の「老人福祉法等の一部を改正する法律」(福祉関係八法改正)は、「老人福祉法」「身体障害者福祉法」「精神薄弱者福祉法」「児童福祉法」「母子及び寡夫福祉法」「社会福祉事業法」「老人保健法」「社会福祉・医療事業団法」という八つの福祉関係法を改正するという大掛かりのものであったが、内容的にはさきに概括した八〇年代における多岐にわたる福祉改革を確認するものであった。