平成一〇年六月、中央社会福祉審議会社会福祉基礎構造改革分科会によって「社会福祉基礎構造改革について(中間とりまとめ)」が提出され、一二月には「社会福祉基礎構造改革を進めるに当たって(追加意見)」が発表された。この基礎構造改革は、一九八〇年代に始まる社会福祉改革を集大成するものであった。基礎構造改革は、一九四〇年代後半における戦後福祉改革からおよそ五〇年余の社会福祉の展開を踏まえ、①福祉サービスの提供者と利用者との対等な関係の確立、②地域での総合的な支援、③多様な供給主体の参入促進、④福祉サービスの質と効率性の向上、⑤手続き等の透明性の確保、⑥公平かつ公正な負担、⑦福祉の文化の促進、を理念とした。具体的には、
(A)社会福祉事業の推進―社会福祉事業の再編、社会福祉法人の見直し、サービス利用体制の推進、権利擁護の推進、施設の整備
(B)質と効率性の確保―サービスの質の向上、効率性の確保、人材の養成と確保
(C)地域福祉の確立―地域福祉計画の策定、福祉事務所等行政実施体制の改革、社会福祉協議会の改革、民生委員・児童委員制度の改革、共同募金の推進
が改革の課題として指摘された。