基本構想で「福祉のまちづくりを促進する」として「高齢者や障害をもつ人を含め、誰もが安心して地域で社会活動が営めるように、コミュニティ活動、福祉教育活動、情報サービス活動の充実をはかる。これらの活動を通して、こころがふれあい、思いやりのあるまちをめざす」「道路や公共公益施設はもとより、民間施設を含めて、都市全体が、誰にでもやさしいまちになるよう、環境づくりにつとめる」ことが示された。平成三年、港区福祉のまちづくり整備要綱と港区福祉のまちづくり整備費補助金交付要綱が制定された。
昭和六一年に実施した区民世論調査は例年の調査に比べて規模を大きくしたもので、成人した区民の一割を対象とした。その結果、区民葬祭場の設置の希望が上位にあることが明らかになった。その後も同調査で平成三年まで毎年、希望する施設の上位にあることを受け、基本計画に計上されるに至った。斎場建設予定地として南青山の国有地の譲渡を数年にわたって国に要望し、取得が叶った後、平成九年に区民斎場やすらぎ会館を開設することとなった。住宅事情や経済的な理由から自宅や斎場で葬儀を執り行えない区民にとって必要な施設だとして設置されたのである。 (西田恵子)