一九四〇年代の後半から五〇年代にかけて、わが国の社会福祉は、多くの国民が飢餓的な生活困窮に瀕する中で戦後改革の一環としてその基礎が定められた。その後、社会福祉は、六〇年代から七〇年代にかけての高度経済成長を背景に拡大し、七〇年代初頭には福祉国家体制を支える主要な施策として位置付けられることになった。しかし、その七〇年代中葉をピークに福祉国家体制が批判の対象に転化するなかで、八〇年代を分水嶺として見直し、改革の時期を迎えた。わが国の社会福祉は、継承発展よりも改組改革の対象として位置付けられるようになり、施策体系、施設体系、運営システム、財源システム、援助の手段や方法など、定礎期から拡大期にかけて形成されてきた社会福祉のあり方全般が改革の対象とみなされた。しかし、その中から分権化、地域化、利用システムの導入、権利擁護など社会福祉の新たなあり方につながる要素が形成されていった。
平成一二年(二〇〇〇)以降の時期は、そのような新たな要素の定着、発展のもとに、社会福祉がその新たなあり方を具体化させる転換期として捉えることができる。