平成一〇年に提起された社会福祉基礎構造改革の構想を実現する措置として、同一二年に「社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律」が制定された。この法改正は、「社会福祉事業法」「身体障害者福祉法」「知的障害者福祉法」「児童福祉法」「民生委員法」「生活保護法」等の改正、「公益質屋法」の廃止などを含み、その後の社会福祉のあり方を方向付ける大掛かりなものとなった。特に、それまで社会福祉事業に関する法律としての性格が強かった社会福祉事業法が社会福祉全般の運営に関わる法律として明確に位置付けられ、社会福祉法と題名改正されたことは重要な意味をもっている。
改正の主要な内容は、
(A)利用者の立場に立った社会福祉制度の構築
①福祉サービスの利用制度化 ②利用者保護制度(地域福祉権利擁護制度・苦情解決制度・利用契約についての説明・書面交付の義務づけ)の創設
(B)サービスの質の向上
①事業者によるサービスの質についての自己評価 ②事業運営の透明性の確保、利用者による選択に資するための事業者による情報の提供、財務諸表等の開示
(C)社会福祉事業の充実・活性化
①社会福祉事業の範囲の拡大 ②社会福祉法人の設立要件の緩和 ③社会福祉法人の運営の弾力化
(D)地域福祉の推進
①市町村地域福祉計画・都道府県地域福祉支援計画の策定 ②知的障害者福祉等に関する事務の市町村への委譲 ③社会福祉協議会、民生委員・児童委員の活性化
である。