世紀転換期の社会福祉における変化の一つは、社会福祉の対象が児童、身体障害者、母子、知的障害者、高齢者という福祉五法にみられるような伝統的な年齢、性別、障害の種類などの対象類型から、具体的な問題の種類ないし内容に着目して対象設定した福祉サービス法が多数追加され、社会福祉の施策対象が大幅に拡大したことである。法令のみ列挙すれば、平成一一年に「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」「児童虐待の防止等に関する法律」、同一三年に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」、同一六年に「発達障害者支援法」、そして同一七年には「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」が制定されている。一九八〇年、九〇年代以降の超少子高齢社会化、家族構造の変化、幼弱者や高齢者に対するケア社会の変化、地域社会の変貌などによって、社会福祉を必要とする人々の生活状況の変化、そこで生まれるニーズの多様化、複合化、高度化に対応した新たな施策が求められたのである。