路上で生活するホームレスと呼ばれる人々の姿が目立ちはじめたのは一九九〇年代の中頃からのことであり、大きな社会問題となった。政府は、平成一四年に「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」を制定して対処しようとしたが、路上生活からの脱却は進まず、路上で生活する人々は容易に減少しなかった。他方、雇用機会の減少のみならず、家族や学校での生活に適応できず、家に引きこもる若年者が増加した。さらに、若年者のみならず中高年者にも無職、非婚で家に引きこもる人々も増加した。賃金だけでは生活維持が困難なワーキングプアの存在も拡大し、病気や家賃の滞納などによってその生活は容易に破綻した。
こうした状況に対応するため、平成二五年には「生活困窮者自立支援法」が制定され(同二七年四月施行)、自治体の支援窓口に相談し、自立のための支援プランの作成を前提に、一時生活支援事業、住居確保給付金、就労訓練事業を利用することが可能となった。また、ホームレスの場合、生活維持、健康の維持、住居の確保等、複数のサービスを総合的に利用することが必要になること、それらのサービスにかかる手続きを一つの窓口で済ませる必要が生じたことから、分野横断的なアプローチやワンストップサービスという手法が導入された。