自律生活支援

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社会福祉の利用者に雇用による自立生活を支援するという方法は、生活保護や身体障害者福祉においては制度成立以来、重視されてきた。しかし、八〇年代以降においては、障害者や母子家族、さらには児童についても、雇用による自立を促進する施策が展開された。いわゆるウェルフェア(生活福祉)からワークフェア(就労福祉)への転換である。障害者については、雇用支援のための新たな枠組が導入された。
また、平成一五年には、保育サービスや介護保険に倣うかたちで、障害者についても従来の行政処分としての措置制度に代えてサービスの手段や種類について利用者が選択し、申請することを認める支援費制度が導入され、さらに同一七年には「障害者自立支援法」が制定された。
他方、障害者福祉の領域については、ノーマライゼーションを推進することを目指す施策が導入された。加えて、重度の障害のある人々についても地域社会における生活を目指す地域移行への支援が行われるようになった。障害が重い場合は、生活費については年金や生活保護などの所得保障の制度に頼ることになる。そのことを前提に、人としての安全と安心、尊厳、自分の意志や判断(決定)による生活の維持が求められる。その意味においては、求められるのは生活の自立、いわゆる自立生活ではない。人としての安全と安心、尊厳、自分の意志や判断(決定)による生活を意味する自律生活である。