災害福祉への着目

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平成二三年三月、東日本をマグニチュード九・〇の大地震が襲い、岩手、宮城、福島、茨城、栃木は大きな被害を被った。震災後、三か月を経過した時点で死者約一万五〇〇〇人、行方不明者約七五〇〇人を数え、約一二万五〇〇〇人が避難生活を送るという状況であった。水道、電気、ガスなどのライフラインはもとより、線路の流失、道路の断絶、生活必需品の途絶など壊滅的な打撃を受け、日常生活は崩壊状態に陥った。
この東日本大震災の時にも、全国から多数のボランティアが集まり、救援活動に参加した。また、警察、自衛隊、自治体の職員、社会福祉協議会の職員やNPOが救済活動やそのバックアップに当たる活動に参加した。企業等事業者の協力もあった。
社会福祉は、度重なる震災を通じて、震災直後の生命の危機に関わる緊急事態における支援はもとより、その後の生活の再建に関わることになり、災害支援は社会福祉の重要な領域の一つとなり、災害福祉という名称が定着する。しかし、震災による生活の破壊、そしてその再建は、日常の生活はもとより、自然環境、産業、雇用、医療、教育、宗教など文字どおり人々の生活の全体に関わる活動になり、社会福祉のあり方について再考する機会となった。