社会教育施設の拡充

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【進む図書館の整備】 図書館法を根拠に文部省が公立図書館に施設費、設備費の補助を行うようになったこともあり、昭和三〇年代には区立図書館の整備が進んだ。港区一〇周年記念事業の一環として行われたのが、三田図書館の整備であった。昭和三四年三月、都内で最大の規模を誇る図書館として整備され、開館時間を午後九時までとして、フィルムライブラリーが設けられたほか、社会教育活動に活用できる会議室などが整備され、港区の中央図書館としての機能を持っていた(図14-2-2-2)。昭和三八年には、氷川図書館が閉館し赤坂図書館を新築した。赤坂図書館は、三田図書館と同様に社会教育活動に活用できる施設が整備されている。

図 14-2-2-2 三田図書館(昭和34年)


昭和四二年三田図書館分館として、高輪地区に高輪分館が設けられ、のちに高輪図書館として独立している。また区民の図書館に対する期待は年々高まり、利用者数も急増していた。このため昭和五四年に港区制三〇周年記念事業として、区内図書館の中心館として三田図書館の機能を引き継ぐ形で、みなと図書館が開館し、三田図書館は、昭和五七年に改築された。施設整備だけではなく、共通利用券発行や資料の相互貸借など、利用者サービスの充実にも努めている。また、改築された三田図書館の四階には、港郷土資料館が新築された。収蔵庫を設け、空調や消火設備など、小規模ながら資料保存環境が整備された。その機能は、平成三〇年白金台の港区立郷土歴史館に移管された。
【社会教育会館の整備】 先に見た青年活動の場の不足が指摘されている中で、港区社会教育委員会の昭和四七年度答申「港区における社会教育施設の基本計画について」により、地域における社会教育活動拠点として昭和五一年青山社会教育会館が整備された。学習室三室、学習室兼レクリエーションホール一室、図書室が設置されたほか、日曜日にも開館するなど区民の社会教育活動の場としての機能が期待された。社会教育団体(一〇人以上の構成員で70%以上が港区内に在住・在勤)として登録することにより無料で利用できることもあり、青山地区には、社会教育関係団体が急増するなど大きな効果がみられたほか、青年館の利用改善にも寄与した。事業を主催せず、図書館機能をもたせたことがこの館の大きな特徴であった。
【社会体育施設の整備】 昭和四〇年代には、スポーツ活動の普及発達に伴い、施設整備が相次いだ。昭和四二年には檜町公園弓道場、同四六年にお台場運動広場が整備されたほか、同四八年には芝プールが都から移管された。また既存の野球場やテニスコートにはナイター設備が充実し、昭和四六年度には麻布野球場、同四八年度には青山野球場と麻布・青山両庭球場に夜間照明設備が整えられた。
しかし、多くの競技は専門かつ総合的な体育施設が存在しなかったことから、区民のスポーツ教室、活動は小中学校などの体育館を利用して行われていた。区民からも強い要望があったかかる施設は、港区スポーツセンターとして昭和五〇年に田町駅東口に完成した(図14-2-2-3)。区民が気軽に楽しみながらスポーツを行い、かつコミュニケーションを図り、レクリエーションとして楽しめる場として整備された。区民の利用を優先するために、利用者登録として、在住・在勤者に限定した。

図 14-2-2-3 完成間近の港区スポーツセンター(昭和49年)


なお四節でも触れるが、JR田町駅の大規模複合開発に伴い、港区スポーツセンターは、平成二六年(二〇一四)およそ200m東側に竣工したみなとパーク芝浦内に移転した。   (進邦徹夫)