教育振興プランと区の教育施策

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【港区教育振興プランと教育ビジョン】 平成一八年一二月に国の教育基本法が改正され、自治体が教育振興基本計画を策定することが努力義務となった。港区ではそれに先立つ同年六月に、港区の教育施策の中期的な計画として港区教育振興プラン(計画期間:平成一八~二〇年度)を策定した。同プランでは、プラン策定の目的・背景・概要と教育施策の体系、施策の柱と今後の重点施策、個別事業の概要などが記載された。
計画年度の終了に伴い、平成二一年度に大幅な見直しを含む改定が行われた。合わせて、特別支援教育推進計画、および区立幼稚園(当時一二園)・私立幼稚園(当時一四園)が連携して区の幼児教育を担うことを目指す幼児教育振興アクションプログラムが策定された。
平成二四年度には再度港区教育振興プランが改定され、基本方針として幼小連携や小中連携、小中一貫教育の推進などが付け加えられた。
平成二六年一〇月、教育委員会は平成二七年度からの一〇年間を期間として、区の教育の根幹となる理念、取組の方向性などを示す港区教育ビジョンを策定した。この港区教育ビジョンは、区の教育振興基本計画に該当する。基本理念として「すべての人の学びを支え つなぎ 生かす」を掲げ、区の教育の基本的方向性として「『徳』『知』『体』を育む学び」など五点を示している。また、これらを実現するため、五つの個別計画(学校教育推進計画・生涯学習推進計画・スポーツ推進計画・図書館サービス推進計画・子ども読書活動推進計画)を定めた。
このうち学校教育推進計画は、学校教育に特化した初めての計画である。子どもたちが安全で安心に過ごすことができ、学ぶことの楽しさにあふれる学校づくりなどをその方向性として掲げている。
平成二六年に地方教育行政の組織及び運営に関する法律(地教行法)が改正され、首長が自治体の教育の基本的方針である大綱を定めることになった。区長は新たに設置された総合教育会議での教育委員会との協議・調整の結果、平成二七年七月に港区教育ビジョンを区の教育大綱とすることとした。
【区長部局との連携・協力】 最近の教育施策の特徴は、区長部局と教育委員会との連携が以前に比べて進展していることである。
第一に、首長と教育委員会が協議・調整を行う総合教育会議の設置である。これは平成二六年の地教行法改正に伴い開始された。年度により開催の有無や回数は異なるが、区長と教育委員会が公式に協議を行う場となっている。令和二年度までに、教育大綱、小中一貫教育、子どもの未来応援施策などが議題となっている。
第二に、平成二一年度から毎年、総合支所と教育委員会が連携して地区教育会議を開催していることである。出席者は公募区民・教育長・教育委員・教育委員会事務局職員・校長・園長・総合支所長・協働推進課長である。これまで、学校・教育委員会と地域との連携、地域とともにある学校づくり、などのテーマで協議が行われている。
第三に、学びの未来応援施策である。区教育委員会は平成二八年三月に「学びの未来応援施策検討委員会」を設置し、経済的な状況によらず養育状況に課題がある家庭における子どもの生活面や学力面での支援策について検討した。その後、保健福祉支援部と教育委員会が連携し、「教育・学習の支援」「生活環境の安定の支援」「保護者に対する就労の支援」「経済的安定の支援」について様々な施策を展開している。