港区文化懇談会と文化振興

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昭和六二年(一九八七)六月、芸術・文化活動の振興について社会教育委員の会議が諮問に応じ、答申が行われた。同年一二月には各分野からの有識者一一人らの参加を得て港区文化懇談会が発足し、〝明日の港区〟の姿について検討を始めた。これを踏まえ、昭和六三年七月の中間報告では、「行政はまず文化〝施策〟をもたなければいけない」「芸術・文化の振興には、新しい発想や、対応の仕方が必要」「文化施設については、センターとしての性格をもつ施設を整備していくと共に、身近な施設の整備、それら相互のネットワークがもとめられよう」などの意見があった。また、「港区の文化の再生」について、①港区を新しい芸術・文化の発信地に、②国籍を越えた区民交流をもとめて、③企業活動を文化の活力に、④人口減少をくい止め、安心して住めるヒューマンな街へ、⑤散歩の楽しめる町並の創出のためにの五項目が掲げられた。平成元年(一九八九)三月には討議をまとめ、①文化の現状認識、②文化政策と文化行政、③あらたな施設への提言、④文化的ネットワークへの構築の四つの柱からなる、港区文化懇談会報告書として報告された。
しかし、平成前半における区の財政危機などにより、これらの提言を区の施策に結びつける機会がしばらくないままであった。
平成八年四月には、区から出資を受け区と連携して文化振興事業を実施する役割を担う財団法人港区ふれあい文化健康財団が設立された。同財団はこれまで区が行ってきたコミュニティ・文化・生涯学習などの教室や講座の実施、みなと区民まつりや区民センター等の施設のイベントの開催、区民の健康増進および豊かな生活を充実させるための健康増進事業などを担うほか、施設の相互利用や事業の相互乗り入れを積極的に推進し、自主的な活動を行うグループやサークル団体を育成・支援するなど幅広いコミュニティ活動を援助する役割を担っている。平成一〇年四月、スポーツ振興事業への支援も加えて財団法人港区スポーツふれあい文化健康財団(愛称:Kissポート財団)となり、同二二年は公益財団法人の認定を取得している。