「第Ⅱ章 港区の気候と気象」では、気候・気象を知るための必要な事項が解説されている。本書の特徴の一つが最もよく現れた章である。
地球を包む大気にとって港区は必ずしも特別な存在ではない。したがって、港区の気候・気象を知るためには地球規模の視野が求められる。第Ⅱ章の記述が時に港区外に及んでいる所以である。同様の手法は第Ⅰ章第2節でも講じられており、私たちは、本書を通して世界、日本あるいは東京の中に、港区の自然を位置付けることができる。
また、気候や気象は私たちの暮らしや活動に直接的な影響を及ぼす。近年の気候変動は、社会問題にもなっている。こうした背景を踏まえ、第Ⅱ章では、自然と人びととの関わり合いが強く意識されている。