1)赤坂見附(あかさかみつけ)から溜池(ためいけ)へ

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 赤坂見附交差点(写真1-ⅰ-1)は外堀通りと青山通り(国道246号)が交差するところで、首都高速4号線と青山通りが頭の上を高架でまたいでいる。「赤坂見附」は、江戸城の入口の見張所の一つであり、近くに「赤坂見附跡」の石垣が残っている。

写真1-ⅰ-1────赤坂見附交差点(頭上は青山通り、右手は永田町方面)


 交差点の標高は約10mで、交差点から赤坂見附跡の石垣のある永田町方面に向かうと青山通りは上り坂となり、永田町駅付近の標高は約29mである。一方、赤坂見附の交差点から青山通りを青山方面に向かう道も上り坂で、高橋是清翁(これきよおう)記念公園(旧赤坂区役所)付近の標高は30mとなり、赤坂4丁目の旧道には「牛鳴坂(うしなきざか)」という急坂がある。
 また、交差点から外堀通りを北西(四谷方面)に向かうと、右側に外堀の一部の「弁慶堀」(写真1-ⅰ-2)があり、やがて紀伊国坂(きのくにざか)という坂となる。坂を登ると左手は旧紀州徳川家屋敷跡の迎賓館赤坂離宮で、右手は四ツ谷駅、迎賓館前の標高は約30mである。

写真1-ⅰ-2────弁慶堀(四谷方面をのぞむ、左手が紀伊国坂)


 このように、赤坂見附交差点のあたりは標高約10mと低く、周囲の高台は約30mほどあるため、各方向に上り坂となり、周囲と比べるとすり鉢のように低くなっている様子がわかる(図1-ⅰ-2)。ただし、赤坂見附交差点の南側は、外堀通りをすすんでも上り坂にはならず、溜池交差点まで少しずつ低くなっていく。外堀通りの両側はビルが並んでわかりにくいが、左手(東側)には山王日枝(さんのうひえ)神社があり、高台となっている。右手(西側)は、飲食店の並ぶ赤坂の商店街が平行しているが、その最も西側の一ツ木通りの西側は上り坂となり、赤坂不動というお寺が坂の上にある。

図1-ⅰ-2────赤坂見附付近の地形(地理院地図)


 赤坂見附から溜池にかけての外堀通り沿いは低地が続き、溜池の谷ともよばれる。江戸時代にはその名の通り「溜池」という貯水池があった(写真1-ⅰ-3、図1-ⅰ-3)。

写真1-ⅰ-3────溜池発祥の碑(赤坂1丁目)

図1-ⅰ-3────歌川広重『名所江戸百景』より「紀乃國坂赤坂溜池遠景」(国立国会図書館デジタルコレクションより転載)