ⅱ 台地と谷

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 前項でみたように、港区の地形は、内陸側で起伏が多く、台地面と斜面と谷底からなっているということができる。このため、地形を知る手がかりは坂(斜面)であるといえる。一方、JR線の東側は低地や埋め立て地で、起伏がほとんどみられない。ここでは水路や橋が手がかりとなるだろう。
 台地は低地よりも一段高く上が平坦な地形なので、台地の周囲は斜面(坂)で囲まれるのは当然だが、台地の内部に複雑な凸凹(でこぼこ)があり、そこも坂になっている。これらの坂を下ると幅の狭い低地となり、木の幹のように1本にまとまっていく。そして、かつてはその中央に水路があり、川の流れる小さな谷であることを示していた。しかし、現在はこれらの水路は道路の下になり、谷の地形だけとなっている場合が多い。
 前項で示したように、港区の主な谷としては溜池の谷や古川の谷がある。そして、溜池の谷も古川の谷も支流の谷(支谷(しこく))が木の枝のように数多く枝分かれしている。
 まずは、台地と谷の分布をみながら、各地域の地形の特色を示してみたい。
 『新修港区史』(港区 1979)に港区の地形の区分が示されている。この区分に大きな変更はないので、そこで用いられた名称をそのまま使うことにする。