本コアで観察された地質(深度17.5~0.6m)は下位から砂泥層(HK-Unit1)、シルト層(HK-Unit2)、砂層(HK-Unit3)、シルト層(HK-Unit4)、砂泥層(HK-Unit5)、礫混じり砂・シルト層(HK-Unit6)であった(図2-ⅳ-3)。このうちHK-Unit1は上総層群、HK-Unit6はおもに人工埋積物と解釈され、沖積層はHK-Unit2~5である。
図2-ⅳ-3────日比谷公園において掘削されたボーリングコア(日比谷公園コア)の柱状図(石川ほか(2009)による)
珪藻化石分析と放射性炭素年代測定から以下の様な環境変遷が復元されている。すなわち、日比谷公園付近では有楽町海進により8,700年前に入江環境が出現し、引き続く海面上昇により水深が増加した。この後,7,300年前頃高海水準期となり、少なくとも6,500年前頃まで高海水準期が継続した。海面上昇は武蔵野台地東縁を縁どる入江を形成し、当時おそらくリアス海岸として複雑な海岸線を出現させた。その後、約4,800年前から徐々に浅海化し、河口付近の沿岸域のような環境となった。その後も海面は徐々に低下し、日比谷公園付近で汽水生種と淡水生種に連続的な産出が認められることから海退現象が発生し、その年代はおよそ3,600年前から1,200年前と考えられており,さらに約800年前以降に干潟が広がり,江戸時代に入って埋め立てられたことが推定されている(石川ほか 2009)。