これらの斜面や坂の多くは、第Ⅰ章第1節でもみたとおり、武蔵野台地を刻む溜池の谷や古川(渋谷川)の谷の谷壁(こくへき)斜面である。東京ミッドタウンや六本木ヒルズのある「坂の上」は武蔵野台地で標高は30mほどあり、「坂の下」にある麻布十番や溜池交差点などの標高は10mに満たない。港区のウェブサイト「坂図鑑」では区内の坂が80か所以上紹介されている。そこに愛宕山(愛宕神社)の石段が含まれていないことからしても、区内の坂や階段の数はさらに多くなるものと思われる。
図(2)────港区の坂の分布図(区内の代表的な坂を台地ごとに示した)
■赤坂台地 ①紀伊国坂、②牛鳴坂、③三分坂、④乃木坂、⑤檜坂、⑥氷川坂、⑦南部坂
■麻布台地 ⑧暗闇坂、⑨大黒坂、⑩仙台坂、⑪絶江坂、⑫薬園坂、⑬霞坂、⑭紺屋坂、⑮南部坂、⑯新富士見坂
■青山台地 ⑰笄坂、⑱牛坂
■飯倉台地 ⑲行合坂、⑳、㉑榎坂、㉒霊南坂、㉓鳥居坂、㉔永坂、㉕狸穴坂、㉖土器坂
■三田段丘 ㉗神明坂、㉘日向坂、㉙綱坂
■高輪台地 ㉚安全寺坂、㉛潮見坂、㉜聖坂、㉝伊皿子坂、㉞桂坂、㉟蛇坂、㊱魚藍坂
■白金台地 ㊲蜀江坂、㊳三光坂