1)降水量の季節変化

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 図2-ⅱ-4aに示した通年半旬別平均値による港区の降水量(港区観測の9地点平均)の季節変化によると、降水量は12月、1月の冬季には5~10mm/5日以下と少なく、そこからおよそ50mm/5日となる9月中下旬にかけて増加する。港区の年降水量平均値1501mmを5日あたりにすると20.5mm/5日(破線)で、各半旬降水量がこの値を上回る降水量の多い期間は、3月上旬から不連続的に現れ始め、10月下旬まで認められる。1月から9月中下旬に至る降水量の増加は単調でなく、複数の降水量の極大が現れている。10月以降における降水量の減少は急速であるが、11~12月には降水量の小さい極大が認められる。

図2-ⅱ-4────通年半旬別平年値による港区の降水量と気温の季節変化
(a)と半旬ごとの気温変化量(b)および気温日較差の季節変化(c)

港区の降水量および気温として、港区が設置した雨量観測局9地点(統計期間:2010年6月~2019年3月)および環境総合測定局の気温を観測している2地点(統計期間:2000年1月~2018年12月)の観測値を平均している。
港区と気象庁の資料により作成。


 日本における雨の多いまとまった季節は梅雨季と秋雨・台風季であるが、一般に西日本では秋雨・台風季に比べて梅雨季における降水量の極大が顕著な一方、東日本では秋雨・台風季における降水量が多い。当然ながら港区も東日本の特徴を示しており、梅雨季にあたる6~7月の降水量は秋雨・台風季に比べて少ない。また、梅雨季や秋雨・台風季以外にも、4月上旬頃の「菜種梅雨」や、5月中旬頃の「走り梅雨」、また11月下旬頃の「山茶花(さざんか)梅雨」などと称される、やや降水量の多い時期が認められる。2月末~3月初めにも降水量の極大が認められ、これはこの時期に現れやすい南岸低気圧の通過に対応すると考えられる。ただし、これらの降水量の極大は梅雨季や秋雨・台風季と比べて不明瞭であり、現れる時期や期間も年による変化が大きく、はっきりしない年もある。