3)光化学オキシダントOX

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 OXは、NOXがVOCとともに太陽の紫外線による光化学反応を起こして二次的に生成される物質であり、オゾン(O3)やパーオキシアセチルナイトレート(PAN)などの酸化性物質の総称である。これらの増加によって光化学スモッグが発生し、眼や呼吸器系の粘膜を強く刺激して呼吸困難に陥ることもある。環境基準として「1時間値が0.06ppm以下であること」とされている。図2-ⅷ-5は、都区部の常監局(一般局)で平均した昼間のOX濃度1時間値が0.06ppmを超えた日数の経年変化を示している。1970年代後半には高いOX濃度の発現日は大きく減少したが、その後漸増ないし横ばいの傾向が続いており、多くの地点で環境基準を満たしていない。年平均値(図2-ⅷ-1)においても漸増傾向が続いている。原因物資であるNOX濃度の減少に比してOX濃度が低下しない背景に、工場や自動車から排出されるトルエン、キシレン、ベンゼンなどのVOC濃度がNOX濃度に比べて減少していないことや、気温の上昇による光化学反応の促進が指摘される。

図2-ⅷ-5────東京都区部の常監局(一般局)で平均した昼間のOX濃度1時間値が0.06ppmを超えた日数の経年変化

国立環境研究所環境数値データベース(https://www.nies.go.jp/igreen/)の東京都における大気汚染常時監視測定局の月間値・年間値データをもとに作成。


 基本的にOXの生成は光化学反応に起因することから、図2-ⅷ-6に示したOX濃度は、日射(図2-ⅶ-1b)が強い5月を中心として、4月から気温が高い9月までの日中に濃度が高くなる。また、光化学反応は、日中の海風によって原因物質が大気中を輸送される過程で生じることから、臨海部に比べて内陸側で高濃度になりやすいと考えられる。

図2-ⅷ-6────港区の測定局における光化学オキシダント(OX)濃度の時刻・季節による変化

a)赤坂局(自排局)、b)麻布局(一般局)、c)一の橋局(自排局)、d)芝浦局(自排局)、e)港南局(一般局)。1ppbは0.001ppmに相当する。統計期間は2000~2018年。
港区における環境総合測定局大気常時監視システムの資料により作成。