2)天然記念物など

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 前項で述べたように、高輪東禅寺のアカガシ林とシラカシ林および自然教育園のスダジイ林は特定植物群落に選定されている。さらに自然教育園は旧白金御料地という名称で、園全体が国の天然記念物に指定されている。これら以外に、5本の樹木が国や都、区の天然記念物に指定されている。
 国指定の天然記念物は麻布山善福寺(元麻布)のイチョウで、樹高18m、幹の外周10.4mの巨木。樹齢は770~780年ほどと推定されている。根がせりあがり、枝先が下に伸びていることから「逆さイチョウ」とも呼ばれている。また、11世紀のはじめに親鸞聖人が訪れて杖を挿したところから生えたという伝承から「杖イチョウ」とも呼ばれている(写真1-ⅲ-1)。

写真1-ⅲ-1────善福寺のイチョウ


 芝東照宮(芝公園)のイチョウは東京都指定の天然記念物である。高さ約21.5m、高さ1.2m(目通り)の幹の外周約6.5mで都内でも有数の巨木。徳川3代将軍家光が380年ほど前に植えたとされる(写真1-ⅲ-2)。

写真1-ⅲ-2────芝東照宮のイチョウ


 旧細川邸のシイという名称で東京都指定の天然記念物になっているのは、熊本藩細川家の下屋敷があった高輪地区総合支所の裏手にあるブナ科のスダジイ(写真1-ⅲ-3)。主幹が高さ10mで切られているが、幹の周りは8m以上ある巨木。樹齢は300年以上とされている。

写真1-ⅲ-3────細川邸スダジイ


 赤坂氷川神社(赤坂)のイチョウと増上寺(芝公園)のカヤは港区指定の天然記念物である。赤坂氷川神社のイチョウは推定樹齢400年、地上1.5mの目通りで幹の周りが7.5m、高さが25mの巨木。増上寺のカヤは温帯の常緑針葉樹のイチイ科に属し、地上1.5mで幹の周囲が約4m、高さは25mを超える。植樹されたのではなく自生している自然木とされている。推定樹齢は650年以上である(写真1-ⅲ-4)。

写真1-ⅲ-4────増上寺のカヤ