4)鳥類

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 これまでに港区で記録のある鳥類は40科155種(後述する外来種14種を含まない)である。第2次港区生物現況調査で確認された鳥類は27科77種(外来種3種は含まない)で、これまでに記録のある155種の49.7%である。一方これまでに、自然教育園では126種81.3%が、その他の場所では99種63.9%が記録されている。ほかの東京都区部と比較すると、世田谷区の152種はほぼ港区と同じであるが、目黒区116種、葛飾区70種、千代田区66種、杉並区49種は明らかに港区よりも少なく、港区は他区にくらべて鳥類相が豊かであるといえる。港区では、シギ科やカモメ科などの水域や水域周辺に生息する種やウグイス科などの森林や森林周辺に生息する種が多いことが特徴である。その理由としては、古川や運河域、さらには東京湾沿岸といった水辺の環境に恵まれていることと、屋敷跡や寺社、公園などに緑が多いことがあげられる。ただし、キジ科のキジやヒバリ科のヒバリ、セッカ科のセッカなどの草地性の種は、港区だけではなく、ほかの区でも減少傾向である。
 渡り区分では、1年を通じて記録のある留鳥19種12.3%、主に春期から夏期に継続して記録のある夏鳥3種1.9%、秋期から冬期に継続して記録のある冬鳥46種29.7%、春と秋の渡りの時期だけに記録のある通過鳥71種45.8%、迷鳥1種0.6%、不明15種9.7%で、通過鳥が最も多く半分ほどを占め、次いで冬鳥、留鳥が多かった。
 第2次生物現況調査で確認された27科77種の生息環境別の種数と割合は次のとおりである。森林性種17種21.3%、森林周辺性種12種15.0%、草地性種4種5.0%、水域性種15種18.8%、水域周辺性種21種26.3%、人里周辺性種5種6.3%、およびその他6種7.5%。水域とその周辺で4割以上、森林とその周辺で3割以上の種が確認されているが、草地性の種は少ない。
 森林や森林周辺に生息する種としてタカ科のハイタカとオオタカ、キツツキ科のアオゲラとコゲラ、ツグミ科のアカハラやシロハラ、ジョウビタキ(写真2-ⅱ-20)など、ヒヨドリ科のヒヨドリ(写真2-ⅱ-21)、モズ科のモズ、ヒタキ科のキビタキとオオルリ、メジロ科のメジロ、シジュウカラ科のシジュウカラ、カラス科のカケスとオナガ、アトリ科のアトリとカワラヒワ(写真2-ⅱ-22)、シメがみられる。草地には、ハヤブサ科のチョウゲンボウ(写真2-ⅱ-23)やセキレイ科のタヒバリ、ウグイス科のオオヨシキリ、サギ科のアマサギが生息している。運河の中や開けた水面にはカイツブリ科のカイツブリやウ科のカワウ(写真2-ⅱ-24)、カモ科のキンクロハジロやスズガモ(写真2-ⅱ-25)、ウミアイサなど、カモメ科のユリカモメ(写真2-ⅱ-26)やセグロカモメ、カモメ、ウミネコ、コアジサシなど、あるいはカワセミ科のカワセミがみられる。なお、ウミアイサはこれまで港区からの記録がなく、第2次生物現況調査で初めて確認された。水域の周辺には、サギ科のダイサギやコサギ、アオサギ(写真2-ⅱ-27)など、カモ科のマガモやカルガモ(写真2-ⅱ-28)など、タカ科のオオワシ、クイナ科のオオバン、シギ科のキョウジョウシギやイソシギなど、セキレイ科のハクセキレイ(写真2-ⅱ-29)とキセキレイ、あるいはツグミ科のイソヒヨドリが生息している。市街地などの人と接する場所でみられるのは、ツバメ科のツバメ、スズメ科のスズメ(写真2-ⅱ-30)、ムクドリ科のムクドリ、ハト科のドバト(写真2-ⅱ-31)、インコ科のワカケホンセイインコ(写真2-ⅱ-32)である。ほかにも市街地の上空や街中には、タカ科のトビ(写真2-ⅱ-33)やハヤブサ科のハヤブサ、ハト科のキジバト、アマツバメ科のヒメアマツバメ、カラス科のハシボソガラスとハシブトガラス(写真2-ⅱ-34)が生息している。

写真2-ⅱ-20────ジョウビタキ

写真2-ⅱ-21────ヒヨドリ

写真2-ⅱ-22────カワラヒワ

写真2-ⅱ-23────チョウゲンボウ

写真2-ⅱ-24────カワウ

写真2-ⅱ-25────スズガモ

写真2-ⅱ-26────ユリカモメ

写真2-ⅱ-27────アオサギ

写真2-ⅱ-28────カルガモ

写真2-ⅱ-29────ハクセキレイ

写真2-ⅱ-30────スズメ

写真2-ⅱ-31────ドバト

写真2-ⅱ-32────ワカケホンセイインコ

写真2-ⅱ-33────トビ

写真2-ⅱ-34────ハシブトガラス


 これまでに港区で記録のある重要種は57種である。自然教育園以外の既存の文献の24種と第2次生物現況調査の18種に比べて、自然教育園の重要種は51種とかなり多い。重要種の特徴としては、カイツブリ科やサギ科、カモ科、カモメ科、カワセミ科などの水域や水域周辺に生息する種が多いこと、およびウグイス科やヒタキ科、シジュウカラ科などのように森林や森林周辺に生息する種が多いことがあげられる。猛禽類もタカ科のオオワシやハヤブサ科のハヤブサ(写真2-ⅱ-35)などが重要種である。「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法:平成5年に施行)で国際希少野生動植物に指定されているのがカモメ科のコアジサシ(写真2-ⅱ-36)である。同じく種の保存法の国内希少野生動植物にはタカ科のオオワシとハヤブサ科のハヤブサの2種が指定されている。これら3種は環境省RLでも絶滅危惧Ⅱ類VUに指定されている。自然教育園の記録に限れば、環境省RLの絶滅危惧ⅠB類ENにモズ科のアカモズが、絶滅危惧Ⅱ類VUにサギ科のミゾゴイが指定されている。ミゾゴイは稀に確認されており、渡りの時期に出現することから、今後も出現する可能性がある。また、アカモズは1991年以前に記録された種で、出現することが稀な種である。

写真2-ⅱ-35────ハヤブサ

写真2-ⅱ-36────コアジサシ


 外来種はこれまでに14種が記録されている。ふつうにみられるのはハト科のドバトとインコ科のワカケホンセイインコである。ドバトは元々アフリカ北部から中近東、中国西部にかけて分布していたハトを家畜化し、それが野生化したものである。平安時代には、放生会(仏教の教えで鳥獣や魚を自然に放つ行事)ですでに使われていたとも食用にされていたともいわれている。野生のドバトの記録は明治時代以降にみられる。ワカケホンセイインコは、外来種リストのその他の総合対策外来種に指定され、インドやパキスタン、スリランカに自然分布しているが、ペットとして飼育されていたものが野生化したと考えられ、1969年から東京都区部の西南部で大量にすみついている。外来種のうち、自然教育園を除く既存文献調査と第2次生物現況調査では、ほかにもカモ科のアヒルとインコ科のセキセイインコ、カエデチョウ科のベニスズメが記録されている。これら5種以外の9種はすべて自然教育園のみでの記録である。このうちチメドリ科のガビチョウとソウシチョウは外来生物法の特定外来生物として指定されている。