低地は一般的に、台地を形成する下末吉ローム層(Ic)・武蔵野ローム層・立川ローム層(以上TMI)を欠いています。場所によって多少異なりますが、上総層群(Ka)の上に下部東京層・東京礫(れき)層(Tog)・上部東京層(To)と堆積し、砂泥層、泥層、砂層と続きます(図1-2-3)。砂泥層は粘土と砂が互い違いに堆積していると考えられていますが、詳しいことはわかっていません。その上の泥層はシルト質の軟弱土層で、貝殻を含みます。上位の砂層は主に泥質の細かな砂からなり、貝殻や、場合により腐植物を含みます。
港区内のこうした自然堆積層の大半は、台地、低地を問わず江戸時代以降の盛土に覆われ、盛土層が数mに達することもあります(図1-2-4)。
(髙山 優)
図1-2-3 港区の地質 東京都土木技術研究所編
「東京都総合地盤図」(1977年)所収図を転載、一部改変
a.但馬出石藩仙石家屋敷跡遺跡の土層堆積状態
港区教育委員会編『但馬出石藩仙石家屋敷跡―虎ノ門・六本木地区市街地再開発事業地遺跡の発掘調査―』(虎ノ門・六本木地区市街地再開発組合、2015年)所収図を転載、一部改変
b.汐留遺跡の土層堆積状態(部分・加工)
写真提供:東京都教育委員会
図1-2-4 遺跡にみる地層
aは、飯倉台地の中央付近、我善坊谷に面する斜面を改変して造営された大名屋敷跡遺跡の土層堆積状態である。谷を埋める堆積層(概念図のB層)と、人為的な埋め土ならびに整地層(同A層)が確認されている。bは、汐留遺跡の土層堆積状態である。日本橋台地に相応する洪積層の上に、縄文海進の名残である有楽町層が堆積し、江戸前島を形成する沖積砂層を挟んで江戸時代の造成層がみられる。