コンクリートで囲まれた深い運河

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 かつて港区には遠浅の海が広がっていました。しかし今では、コンクリートの直立護岸で囲まれた埋立地になってしまいました。その間に張り巡らされた運河(図1-4-10)は深く浚渫(しゅんせつ)されています。こうした護岸域の環境には、主に付着生物が生息しています。また、海底に生活する二枚貝やゴカイの仲間が少ないことも特徴です。水深が深いと上層と下層の水が混合しにくく酸素が供給できないために、貧酸素状態になりやすく、生物にとっては厳しい環境になります。
 まず目につくのは、外来種のムラサキイガイ(図1-4-11)やヨーロッパフジツボ、マンハッタンボヤなどの付着生物です。運河域での底生生物の4分の1は外来種が占めます。付着生物の間にはアベハゼやチチブなど、貧酸素・汚染水に強い魚類を見かけます。運河の中ほどでは大きなスズキやボラ(図1-4-12)などが遊泳しています。高浜運河にはホソアヤギヌという汽水性の貴重な藻類が生育しています。

図1-4-10 高浜運河

図1-4-11 ムラサキイガイ

図1-4-12 ボラ