護岸域には、外来性のイガイ類やフジツボ類、ホヤ類などの付着生物が多く見られます。さらに、付着生物の間にはギンポやイダテンギンポ、シモフリシマハゼ、アカオビシマハゼ(図1-4- 14)などが生息しています。小さな砂泥底域には、ゴカイの仲間やアサリ、サルボウガイ、マコガレイ(図1-4-15)なども出現します。
お台場海浜公園は、もともと直立護岸の貯木場であった場所を、生物が生息できるような環境を考慮して、設計されました。46.3haの水域に水際線が約2.8kmありますが、そのうちの800mほどの人工砂浜海岸には伊豆諸島の神津島(こうづしま)の砂が使用されています。また岩場からなる磯浜も造成されています。遠浅の砂浜海岸は酸素を供給し、岩場は空隙や付着基盤を提供します。こうした環境にはさまざまな生物が出現します。
砂浜ではニホンイサザアミやコメツキガニ(図1-4-16)などが見られます。アサリ(図1-4-17)やシオフキガイ、外来種のホンビノスガイ(図1-4-18)も生息しています。磯場では、フナムシが這い回り、外来性の付着生物に混じって在来性のマガキやイワフジツボ(図1-4-19)がみられ、ハゼの仲間が多く生息しています。遠浅の砂浜海岸にはアカエイやシロギスが泳いでいます。冬には、河川を遡上する前の大量のアユが、砂浜海岸で生息しています。
(河野 博)
図1-4-13 お台場海浜公園の石積み護岸
図1-4-14 アカオビシマハゼ
図1-4-15 マコガレイ
図1-4-16 コメツキガニ
図1-4-17 アサリ
図1-4-18 ホンビノスガイ
図1-4-19 イワフジツボ