旧石器時代

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 日本列島に大陸から人類が到達した確実な時期は、約4万年前とされています。その後、約1万6,500年前(約1万3,000年前とする見解もあります)まで、主に石器を用いて狩猟や採集活動によって暮らしを営む時代が続きます。旧石器時代です。日本の旧石器時代は、約2万9,000年前の姶良(あいら)火山灰降灰を境に、前期と後期にわけられますが、赤坂台地で前期に属する石器群と礫群(れきぐん)が発見されました(図2-1-1・図2-1-2)。港区域最古の人類の活動の痕跡です。この時期は、氷期の中でも比較的温暖で、広葉樹が増え、ナウマンゾウやオオツノジカなどの大型動物や、ヒグマ、イノシシ、シカなどが生息していました。後期になると寒冷化が進み、約2万年前には気温が最も低下する時期を迎えます。マツ科などから成る針葉樹林が広がり、大型の動物は種類や数がともに減少する一方、中型小型の動物が増えていきます。この頃の遺構や遺物が、赤坂台地(図2-1-1・図2-1-2)、白金台地(図2-1-3)などで発見されています。
 港区域は、旧石器時代の資料が豊富に発見されている地域ではなく、主に山野から得られる資源に基づいて遊動的な狩猟採集生活を営んでいた旧石器時代の人びとにとって、どちらかと言えば暮らし難い土地柄であったのかもしれません。
 

図2-1-1 長門萩藩毛利家屋敷跡遺跡 石器ブロック検出状況
写真提供:東京都教育委員会

上は姶良火山灰降灰後に形成されたブロック(約2万年前)、下は降灰前に形成されたブロック(約3万年前以前)

図2-1-2 長門萩藩毛利家屋敷跡遺跡 出土石器
東京都教育委員会所蔵 右下の1点が後期の遺物、その他が前期の遺物

図2-1-3 旧白金御料地内武家屋敷跡遺跡 出土石器
後期の礫群とともに発見された石器と剥片