貝塚は、人びとが食料として採集した貝の殻(から)が捨てられた場所です。この貝殻のカルシウム分が酸性の土を中和するため、日本の土壌では残りにくい魚や鳥、獣の骨なども貝塚では出土します。また、こわれた土器や石器、骨角器などの道具類など、食べかすだけでなく、さまざまなごみが捨てられた場でした。一方、埋葬された人やイヌの骨が見つかることもあり、縄文人にとって貝塚は葬送の場でもあったようです。
貝の堆積の仕方や出土資料は、当時の食生活や環境、人びとの行動やくらし方を知るうえで貴重な手がかりとなっており、貝塚は現代の私たちに残されたタイムカプセルともいえます。
図2-3-2 港区の貝塚