亀塚の謎

50 ~ 50 / 278ページ
 古くから古墳とされてきた人造の塚に、三田の亀塚があります(図3-2-9・図3-2-10)。芝丸山古墳・円墳群同様、海を臨む高台に築かれたものです。
 昭和45・46年(1970・71)の慶應義塾大学考古学研究室による調査以来、5度に渡り測量や発掘調査がおこなわれましたが、古墳であることを証明する遺構や遺物は発見されていません。しかし、塚の直下で弥生時代後期後半の住居跡が検出したことで、この時期以降の築造であることが確認され、表層を除き塚の盛土から中世以降の遺物が出土していないこと、盛土の堆積状況がほかの古墳に類似することから、古墳である可能性がかなり高まったということができます。そうであるとしたら、亀塚の被葬者もまた、海上交通に深く関わった人物かもしれません。 
(髙山 優)

図3-2-9 亀塚

図3-2-10 亀塚測量図