江戸図に描かれた日比谷入江

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図5-2-1 「別本慶長江戸図」
東京都立中央図書館特別文庫室所蔵


 
 16世紀後葉、浜松町付近から大手町周辺にかけて低湿地が広がっていました。「別本慶長江戸図」(図5-2-1)の青く塗られた部分で、「汐入(ただし、入は欠字)」の可能性が高い記載があります。後にいう日比谷入江で、約7,000年前から6,000年前にピークを迎えた縄文海進の名残です。近年の研究により、当初は海水が入り込んでいましたが、やがて開口部が狭まり、干潟から湿地に変わっていったと考えられるようになってきました。
〈→『通史編』近世(上) 第一章〉