大地震の記憶と記録

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図5-4-1 鯰絵「太平安心之為」


 鯰絵とは、安政2年(1855)10月2日夜に発生した安政の大地震の直後に生産された錦絵の一種です。地下で大鯰が暴れることによって地震が引き起こされ、それを鹿島大明神が要石(かなめいし)で封じ込めるという民間信仰に基づいて作成されました。「太平安心之為」は、遊女たちの窮状を聞き届けた鹿島大明神が鯰を叱責している様子を描いたものですが、詞書(ことばがき)に、元禄16年(1703)の大地震をはじめとする安政以前の6回の大地震が記されています。
〈→『通史編』近世(上) 第一章〉