江戸の大名屋敷は、さまざまな理由による切土や盛土の繰り返しによって造営・維持されてきました。低地で発見される大名屋敷跡遺跡では、幾層にもおよぶ盛土・整地層がみられます。一方、台地に立地する大名屋敷は、台地上部、斜面や谷間を敷地に抱え込んでいることが多く、こうした地形を巧みに整備・改変しながら屋敷を造営していたことが発掘調査でしばしば確認されています。また、大名屋敷跡遺跡に限ったことではありませんが、一般的に、水の影響などにより湿気が多く、木質や植物質でつくられた遺構や遺物の残存状態が概して良好です。