図5-13-1 「火之元厳重の掟書を張出諸人ニ知らしむる処の図」『藤岡屋日記』第37
東京都公文書館所蔵
嘉永5年(1852)正月15日、町奉行は火の元を厳重に警戒するよう申し渡し、その触書(ふれがき)を町々に設置された自身番屋に掲示させました。その触れを読む人物を描いた素朴なデッサンは、江戸の情報屋といわれた藤岡屋由蔵(ふじおかやよしぞう)が残した記録『藤岡屋日記』に収載されていたものです。幕府の人事情報から、事件の捜査記録、人面蜘蛛といった不思議な話まで、江戸市井のあらゆる情報が書き留められている同書は、幕末の江戸社会を知る上でかけがえのない情報を提供してくれます。
〈→『通史編』近世(下) 第四章〉