図5-14-1 「増補改正 芝口南西久保愛宕下之図」(安政2年[1855]冬増補改正、尾張屋版・部分)
東京都公文書館所蔵
江戸全体を描く絵図は、都市域自体の拡張と掲載情報量の増加によりどうしても大型化していきました。このため携帯して利用可能な分割絵図が誕生し、切絵図と呼ばれるようになりました。幕末の代表的な切絵図である尾張屋版は、武家地は白、寺社地は赤、町は灰色に色分けしてあります。武家の名前がいろいろな方向を向いていますが、これは名前の上方向が正門の位置を示しているためです。しかし町についてはその町名が記されるのみで、内部の構造まではわかりません。
〈→『通史編』近世(下) 第四章〉