動員と社会

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 日清戦争と日露戦争。これら2つの戦争は、近代国家としてのわが国が体験した初めての大規模な対外戦争でした。戦争を生業(なりわい)とする「職業軍隊」の時代と異なり、近代国家における戦争が社会に蓄積された予備兵と呼ばれる市民を動員して展開する以上、戦争はその市民が属する社会をも否応なく巻き込み、国家・国民を挙げての戦争になりました。
 港区では両戦争当時、芝区兵事義済会(日清戦争)、芝区兵事義会(日露戦争)、麻布区恤兵(じゅっぺい)会(日清戦争)、麻布区兵事義会(日露戦争)、赤坂区報国会(日清・日露戦争)などが設立され、出征兵士の見送りやその遺家族の救援、戦病死者の弔慰、凱旋軍人の歓迎慰労などに活発な活動をおこなっています。