闇市とは統制経済のもとで、公的には禁止された流通経路を経た「闇物資」を扱う市場のことを指します。戦争中に政府は経済統制を強め、昭和14年(1939)には価格等統制令を施行して、商品価格の統制と主要物資の配給制度を導入します。戦争の激化にともない物資が極端に不足すると、公定価格は低く抑えられていたため、多くの物資が闇取引に流れるようになりました。とくに終戦時には配給制度はほとんど崩壊しており、人びとは闇物資に頼るほかなかったのです。戦後も、混乱で取り締まりが弱体化しており、行政も闇市の存在を認めて、闇取引や不法占拠を黙認、半ば公認せざるをえませんでした。
図7-2-2は冒頭の写真と同じ日にその北側(現在のSL広場やニュー新橋ビル付近)を撮った写真です。ここでは露店は4列に仕切られ、1軒ずつ場所割りがなされていることがわかります。2枚の写真からは、闇市はいくつかの段階的な形態をとっていたことがわかります。
図7-2-2 新橋駅西口の闇市 昭和21年(1946)2月13日
写真提供:昭和館