漁業補償とその後

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 東京湾内湾漁業は、漁業権に基づく漁業(漁業権漁業)と東京都知事の許可があればおこなえる漁業(許可漁業)、自由におこなえる漁業(自由漁業)がありました。漁業補償は、自由漁業以外の漁業を対象としたもので、漁民と行政との1年半に及ぶ協議の結果、昭和37年(1962)12月25日、すべての漁業権が消滅し、許可漁業が廃止されました。
 しかし東京湾内湾漁業が、これで消滅したわけではありませんでした。少数の漁民が、一本釣漁業や延縄(はえなわ)漁業などの自由漁業を続けました。
 現在、内湾漁業に関わる漁業協同組合が都内に6組合あります。そのうち港漁業協同組合、芝漁業協同組合に、港区の11事業者が所属しています(表7-7-1)。組合所属事業者数では江戸川区に続く多さで、漁業専業の事業者こそありませんが、釣船や屋形船の営業と合わせて、内湾-江戸前の海-のさまざまな海産物を人びとに提供し続けています(図7-7-7・図7-7-8)。
(髙山 優)
 

表7-7-1 現在の漁業協同組合
都漁連内湾釣漁協議会ホームページより作成

図7-7-7 古川河口に浮かぶ屋形船

図7-7-8 台場周辺の遊船の様子