今後、よりさまざまな倉庫建築特有のビジネスが考案されるでしょう。一方で、近年の芝浦などの埋立地には、高層集合住宅や商業施設などの都市施設の建設も進んでいます。これらは港湾用地にそれまでなかった住民層や生活風景をもたらしています。確かに、こうした経済的需要の陸からの侵入は都市インフラとしての港湾とのせめぎ合いをともなうものです。しかし、その相克の過程は湾岸の風景を他には見られない複層的で魅力的なものとすることでしょう。
そして、芝浦のウォーターフロントがこれからも「都市のイメージ」の発信源となることは明治期の築港計画から一貫して変わってはいないのです。
(渡邊大志)
図7-8-5① Warehouse Market Tokyo 「CONTAINER」
東京倉庫運輸株式会社提供
竹芝橋倉庫改修による空間サービス業の最初のモデルケース。
図7-8-5② 空気のグロッタ
(設計:渡邊大志研究室、撮影:関拓弥) 渡邊大志研究室資料
竹芝橋倉庫地下室を改修した空間。全ての港湾倉庫に共通する埋立地の立地特有の地下の高湿度を解決したモデルケース。