東西に横断する3本のインフラと12の分節ネットワーク

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 東西に横断する広域連携軸は、新宿副都心と臨海副都心を結ぶ都市インフラの軸です(イ)。この軸は外堀通りによって虎ノ門、新橋、汐留を横断し、さらにそれと平行に東京都心の外郭を形成する外苑東通りが青山、六本木、浜松町を連結します(ロ)。外国人観光客を多く抱える繁華街と貿易センターなどの世界交易機能を東西に貫くこれら2本の広域連携軸は、国際性が際立つ港区の都市景観を生み出しています。また、有栖川宮記念公園から芝公園を経て旧芝離宮へと至る地形の高低差を活かした緑と水のインフラは、近年暗渠から戻された渋谷川の下流を為す古川(旧金杉川)沿いに次世代の都市の経済空間を形成するものです(ハ)。
 さらにこれらの目に見える東西を横断するインフラの下には、地下鉄網による目に見えない都市構造が潜伏しています。地下鉄の乗換え駅をプロットした図(図7-9-2赤丸印、図7-9-3①)にそれが可視化されています。これを見ると、地下鉄による移動時間が地上の距離に必ずしも比例しないという、その他の都市交通との時間空間の不一致が、地上に見える都市経済の風景を生んでいることがわかります。
 港区の南北の3段構造を3本の東西方向のインフラが横断することで作り出される12の領域は、このような地下鉄のネットワークによって互いに分節されながらも全体として制御される都市の姿を形作っています。
 

図7-9-3① 快適な道路・交通ネットワークの形成(方針図)
『港区まちづくりマスタープラン』(2017年)を一部加工