文化財を護り活かす取り組み

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 郷土歴史館は令和元年(2019)9月27日に、港区指定有形文化財(建造物)に指定されました。竣工時に、指定に値する水準が保たれていることが改修工事の条件でした。
 ところで、港区内に所在する、国や都の指定・登録文化財を除く文化財については、郷土歴史館を所管している港区教育委員会が、所有者や管理者と協働して行政上の保護の任に当たっています。港区教育委員会は昭和53年(1978)10月2日に港区文化財保護条例を制定し、翌年4月1日に施行しました。以来、現在(令和2年10月28日)まで141件の文化財が指定されています(表7-10-1)。さらに、平成3年度には「港区文化財総合目録」制度を導入しました。この制度によって、港区の歴史や文化を知る上で必要となる文化財を、所有者の申請に基づき、簡易な審査で目録に登録するしくみが設けられ、より緩やかな条件のもとで文化財の保護・保存を図ることが可能になりました。「港区文化財総合目録」には港区指定文化財も含まれており、これまでに未指定の文化財53件を含む194件の文化財が登録されています。
 港区立郷土歴史館の開設準備は、こうした文化財を資源と位置付けることから始められました。文化財は主として護るべき遺産とする従来の考え方から一歩踏み出し、資源として、より積極的に活用に供しようとする考えに基づくものです。しかし、文化財の適切な活用は、万全な保護・保存活動があって可能となることは言うまでもありません。
(髙山 優)
 

表7-10-1 港区文化財総合目録登載文化財件数
令和2年(2020)10月28日現在