第20図 大串貝塚出土石器実測図
削器(第20図1・2)
1は側縁に自然面を残す隅丸方形の剥片を素材としている。バルブ方向のみにかぎり数度に亘る調整が認められるのは、薄く成形しようとする反映であるかと思われる。石器の底辺と思われる下端にはブランチングを施して刃部を形成している。脱灰を受けている。石質はホルンフェルスで30gを量る。S11層出土。
2は扁平な円礫を素材としている。片面だけを荒く周囲から調整を加えた後、下端を階段状に調整を加えることによって刃部を形成している。98gを量る。S9~S15層出土。
石斧(第20図3)
3は角柱形の礫を素材として、裏面の大部分に自然面を多く残すものである。両側面に階段状剥離を施すことによって内湾した基部を作出し、刃部は下端を両面加工による調整を施こすことによって形成している。表面全体に亘り脱灰が観察できる。402gを量る。S13層出土。
礫器(第20図4・5)
4は円礫を素材として、側縁部に荒い加工を有している。調整は片面加工によってなされ、刃部も同様に作出している。石質はホルンフェルスで295gを量る。表採。
5は円礫を素材として、大きさを調整するために同一打点を左右に打ち欠いて剥ぎ取りを行っている。下端を階段状に片面調整することによって刃部を形成している。石質はホルンフェルスで299gを量る。表採。
敲石(第20図6)
6は紡錘形の礫を素材としている。基部は欠損しているが、剥離後の調整が認められることから、大きさを減ずるためにしたものかと思われる。端部には敲打痕が認められ、下端になるにしたがって先細りとなっている。598gを量る。B2地点表採。
石鏃・剥片利用石器
報告書に掲載したものは定形もしくはそれに近いものに限定した。石鏃の一部とみられるものや剥片利用の石器についても明確な再調整が認められるもの以外はすべて割愛した。掲載資料は次の計測値によって示す。
第2表 大串貝塚出土石鏃・剥片利用石器一覧表(単位はcm)