1 第一号土壙

 1 第一号土壙(第二〇・二一図,図版第七)
 第10トレンチの南東端近くに位置している.本土壙の規模は,長径2.42m,短径1.48mの長方形で,主軸(長軸)方位はN18°Wを示す.確認面から底面までの深さは約70cmで,壁面はロームで底面から約40cmまでほぼ垂直に掘られ,確認面に近づくにしたがい,ゆるやかに外傾して立ち上がる.底面はほぼ平坦で,かたくしまったロームである.
 埋没土は2層からなり,下層はローム粒子とローム・ブロックを含む黒褐色土b,上層は黒色土aに区分できる.
 土壌内においては,底面から土器や土製品の類は全く出土せず,中央付近(A-Bセクション)の南側と北壁寄り,さらに西側の確認面付近から5個の前期および後期の縄文土器破片が発見されているが,これらは断面図で窺われるように,土墳内に埋置した状態を示すものではなく,埋没土砂中に包含されていたものである.
 出土土器は,胎土に繊維を混入した前期の花積下層式3と後期の堀之内1式1・2・4・5に分かれる.

第二〇図 第三調査区遺構分布図・第一・二号土壙・周溝実測図