4 第一〇号住居址

4 第一〇号住居址(第一二図,図版第七)
 北壁約2.3m,南壁約2.2m,東西壁約2.5mの小型の住居址である.面積約5.6m2.不整方形.壁高は確認面から僅かに10cmを測る.
 床面は全体に硬度2~3に比定できる.柱穴と思われるピットを掘り込んだ形痕は全く存在しない.床面の西壁寄りの2か所に厚さ5cmの粘土を多く含んだロームの堆積がみられた.
 炉址は,中央北寄りという通常の位置ではなく,東に片寄って存在する.大きさは直径約40cmの略円形を呈し,底部に2-3cmの厚さで焼土が残っている.また外縁の2か所にも認められた.
 出土遺物は,図示したものを含めて,土師器の破片が3個出土した.器種は甕形土器と器台形土器である.甕形土器1は,口縁部から上胴部の破片で,頸部は,くの字状に屈曲し,口縁部が外傾する.胴部は球状に大きくふくらむ仲間であろう.器面の調整には刷毛面が使われる.2は器台形土器の器受部の破片で,外方に開く底部から口縁部が斜めに立ち上がる.中央には円孔を貫通させている.器面は平滑である.

第一二図 第一〇号住居址・出土遺物実測図