第二〇図 第一五号住居址実測図
規模 本址は,東側約70%が道路の側溝と公園の敷地内に存在し,発掘できた範囲は僅かに西側の部分であった.西壁(W-Y間)は約3.4mを有する.他の壁辺長は未発掘のため不明である.形状は方形か長方形かのいずれかと思われる.壁高は約20cmを測る.
床面 発掘範囲が外区に相当する部分なので硬度は2~3に比定される.
ピット・炉址 柱穴のP1は発見されてもよさそうであるが,ついに検出できなかった.炉址
はおそらく未発掘のところであろう.
埋没土 土砂は僅かにローム粒子を含んだ黒色土である.北壁に近い床面上には,厚さ5cm前後のロームが堆積していた.
遺物の概要 出土遺物は,土師器の破片が7個であって,床上5~15cmのレベル内に存在していた.このうち1と2,5と7はいずれも接合する.
土師器の機種は,甕形土器,坩形土器,高坏形土器などである.
甕形土器 接合資料1は,口縁部と胴下部を欠損する.胴部上半の破片は,球状を描いてカーブし,肩部外面に刷毛目調整痕を残す.3も同様に球状の胴部破片である.外面は斜めの箆整形を施し,内外は上半に箆,下半に刷毛目痕を残す.胴部中央に輪積み接合痕がみられる.
坩形土器 接合資料2は,丸底の底部から,屈曲して内湾しながら口縁部が立ち上がる.内外面とも入念な箆磨きを施している.
高坏形土器 6は坏部の破片で口縁が弱く外反しながら開く.器面は入念に箆調整を施す.4は裾部の破片で幾分内湾気味に開いている.
第二一図 第一五号住居址出土遺物実測図