各住居址から出土した石器および石製品は,礫器,敲石,凹石,擦石,磨製石斧,軽石,石鏃などの種類である.
礫器 第一・三号住居址から1点出土している.大きさ90mm,厚さ25~30mmの自然礫の一端に,片側から打撃を加えて刃部を作出したものである.164は緑泥片岩,重量400g,78は細粒砂岩,190gを測る.
敲石 第三号住居址から1点118が発見された.太さ30~35mmの細長い自然石で,一端を欠損している.上端部に敲打痕を残す.砂岩.190g.
凹石 扁平な自然礫(略円形・長楕円形)の片面または両面に打痕を有し,僅かにくぼみがある.第一号住居址から1例115,第三号住居址から3例111・488・01(確認面)が出土した.大きさは85~100mm,厚さ40~50mmの礫で,重量は第三号住居址の完形または完形品に近い3例を計測すると,640g,600g,770gである.砂岩.
擦石 第三号住居址の135が該当する.楕円形状礫の側縁(b面)に幅15mmの擦痕・打痕が一周して明瞭に残る.重量890g.砂岩.
磨製石斧 第四号住居址出土.177は両刃のよく研磨された石斧で,刃部は一部を残し,胴部にかけて大きく欠失する.頭部にも僅かな打痕がみられる.現存長126mm,最大幅55mm,厚さ37mm.重量340g.片麻岩.
軽石 第四号住居址貝層中出土.長径80mm・短径73mm・厚さ40mmの大きさを有する.ほぼ全面に使用による擦痕が認められる.重量65g.
石鏃 第二号住居址2点,第三号住居址3点,第四号住居址2点,同未成品1点と他に表採資料1点がある.住居址出土のものは,すべて無茎の基部が内湾する凹基式に属し,側縁は直線状に近い三角形を呈するものと,側縁が幾分くぼみながらのびる長三角形鏃3H325がみられる.完形品は少なく先端部や基部の一端を欠失したものが多い.大きさは全長15mm(4H246),23mm(3H473),現存長24mm(3H325)などがある.石質はチャート・メノウなどを使っている.01は有茎長身で先端部と基部の一端を僅かに欠損する.現存長40mm,最大幅11mm.頁岩.表採資料.
第一九図 住居址出土・表採石器実測図(1)
第二〇図 住居址出土・表採石器実測図(2)