鹿角製の釣針5点と刺突具(鏃・針・ヤス?)7点が発見されている.
釣針 1は現存長79mmを測る大型品である.軸部と湾曲部の一部を残す.軸部は外側に弱く外反し,頭部に2本の浅い削り込みが一周する.軸径は上方で6mmを測るが,湾曲部へ移行するにしたがい太くなる.軸部下半に鹿角の自然面が残り,湾曲部は僅かにねじれている.分岐部に加工した製品である.2は現存長62mm,湾曲部の大部分と鉤部を欠く.前者にくらべて幾分小さくなるが,素材と製作技法はほとんど変わりないように思われる.3は現存長62mmである.軸径は前二者にくらべ少し細くなり,弱く外反する外側に自然面が残る.これも分岐部から製作したものであろう.4は現存長40mmで,軸部下半を欠損している.製作技法は前者に近似する.5は湾曲部の破片で割れ口が新しい.発掘中に割れたもので両端の破片がみつからない.
刺突具 1は平滑に研磨した反対側に海綿質が残る.ほとんど完形品に近い.現存長50mm,最大幅8mm,鹿角製.2は下半部を折損し,研磨面の一部に鹿角の自然面がみられる.現存長27mm,最大幅7mm.3は下半部欠損,上端部を入念に研磨し尖らせている.現存長40mm,最大幅7mm.鹿骨製.4・5は縦割した鹿骨に研磨を施している.最大幅4~5mmの細身に作出し,一端を欠損する.形状からみて骨針として製作したものと思われる.6は鹿角幹部を縦割した長さ65mmの破片で,外面は多少研磨し,内面の海綿質は割られたままの状態である.図の上端(幅広い部分)に研磨を加え尖らせている.剌突具未成品というよりは,別の用途に供したものであろう.7は角幹部を長さ57mmの大きさに縦割したもので,表面の自然面を多少研磨し,内面に海綿質が僅かに残る.これはさらに細く割り研磨加工すると立派な刺突具になろう.
第二一図 第四号住居址貝層出土骨角器・未成品実測図