釣針未成品は3点,刺突具未成品および加工痕のある鹿角も約6点ほど出土している.
釣針未成品 未成品3例は釣針である.6は鹿角の分岐部を80mmの長さに切断し,擦り切り溝を入れ二つに縦割した好例で,模式図(金子浩昌氏原図参照)のように釣針が製作されたものであろう.7は角幹を直接縦割し,扁平な板状にしたもので,長さ70mm,幅30mmの大きさを有する.
8は中心部を刳りぬく荒削りの工程で破損した資料と思われる.
加工痕のある鹿角 角幹軸線と直角に擦り切り手法による横截痕が半周する1,削り込み手法によってV字状の浅い溝をつけて割った1~3,縦割用のV字状擦り切り溝をつけた4,このほかに角冠先端を丸めた5がある.これらの鹿角には,製品を作るために削り落された廃品も含まれる.6は角座のとれた落角であり,その好例の一つと思われる.第Ⅰ枝叉状部上方の角幹を利用するために,叉状部の下端(角座直上)から削りとった残りの部分である.角幹の周囲から約10mmほど粗い削り込みを入れ,海綿質のところで折りとっている.
第二三図 第四号住居址貝層出土加工痕のある鹿角実測図