2 魚類
クロダイ 近海や内湾の水深5m以上の砂泥底に棲み,とくに幼魚は河口付近で育つ.初夏から秋頃にかけて多く釣ることができる.魚骨のなかでは出土量が最も多い.主上顎骨(左13・右14),前上顎骨(左51・右39),歯骨(左23・右26),前鰓蓋骨(右3),角骨(左3・右7),椎骨(134),神経・血管間棘(54),臀鰭棘(215)などが採集されている.前上顎骨長は最大40mm,最小15mmの範囲内に出現し,20mm前後のものから30mm以上の大きさが多くみられる.体長はおそらく30~40cmに成長したものであろう.
スズキ 内湾の河口付近に棲息し,春から秋にかけてが漁期である.骨の出土量はクロダイに比較すると減少する.この魚は釣り上げる際にエラ洗いを行ない,針をはずして逃げてしまう習性がある.湾内水域の漁撈活動にもなんらかの影響を及ぼしているかも知れない.前上顎骨(3),歯骨(左18・右8),前鰓蓋骨(左6・右7),主鰓蓋骨(左30・右22)などが出土している.歯骨中には長さが小さいもので35mm前後,大きいもので65mmに達するものがある.長さ50~65mmのものが多い.体長は25cm前後のものから50~70cmに成長した大型魚を捕獲していたものと思われる.
この他に種名が判名した魚骨としては,ボラ・コショウダイ属の一種・マダイ・マアジ・カサゴ科の一種・ヒラメなどが,量的には少ないけれども出土している(金子氏原稿参照).