測量を開始するに先立ち雑木類の伐採を行い,現状の写真撮影後,25cmコンターで実測図を作成した.現墳頂部から北側および西側の墳丘は,墳頂下50~125cm付近まで,コンター線が等間隔に弧状を描いているが,それより下部の旧表土付近(150~175cm)は方形状を呈し円形にはならない.東側は,幅2.5~3.0m,高さ50~60cmに細長く盛り上がった部分が続き防空壕に達する.この部分は,確認調査を実施しないと,前方部に該当するのか,それとも防空壕の掘削土砂であるのか断言できない.南側は,コンター線が墳頂部に向って大きくカーブしながら入り込み,墳丘を削りとった状態がうかがわれる.また,裾部には撹乱穴も存在して,周囲一帯は一段と低くなり,土砂が著しく移動しているように思われる.未発掘の区域内に開口している防空壕(測量図の上端右寄り付近)は,土砂崩落の危険を伴うので実測作業は中止した.測量図と現状から把握した本古墳の墳形は,ひとまず以上のように説明しておきたいと思う.
さて,道路に並行しほぼ南北に設定した断面(A-B)を観察すると,墳丘の土砂はすべて盛土であって,ローム面上に黒色土,黒褐色のローム,茶褐色のローム,鹿沼土のブロックを含んだローム,黒色土ブロックを混入したロームなどを交互に積み重ねて築成している.その層序は墳丘断面図に示すようなありかたであるが,墳丘南半部(実測図右側)の盛土(c・d)をよく観察すると,斜めに大きく削られていることがわかる.したがって,墳丘築成時の墳頂部は,少なくとも2m程度南側に張り出していたとみるべきであろう.墳丘下ローム面の落ち込みは第一号住居址(断面)である.
断面図から計測できる墳丘の規模であるが,高さについては,ローム面から現墳頂部まで2.2mを測る.大きさ(直径)を計測するために裾部のローム面,盛土の堆積状態を調べると,北側は良好な状態を保っているが,南側は裾部のローム上面に堆積する土砂すべてが,埋め戻しか軟らかい撹乱土砂である.墳丘下の平坦なローム面が斜めに落ち込む下底部付近は,約80°の傾斜で深さ1.3mほどに掘りとった面が続き,周溝の確認は困難である.ローム平坦面の長さは,11.6mまで計測でき,その南端部からは撹乱層が重複する.
第一五図 第二号古墳測量図