4 出土遺物

 4 出土遺物(第三四図)
 第一~三号溝状遺構から出土した主要な遺物は下記のような種類である.
 異型器台形土器の1は,上部中央と側面に円孔を有し,器面に刷毛目調整痕を残す.住居址出土品と同類である.2は有段口縁の壺形土器に属し,有段部と頸部の凸帯上に縄文が押捺される.古墳時代前期.第一号溝状遺構出土.
 3は甕形土器の上半部で頸部から口縁部が外反する.器面は篦なでにより調整される.4は体部から口縁部が外傾して開き,内面に稜を有する.5は外湾して開く体部から,稜を形成して口縁部が短かく外反して立ち上がる.体部は箆削りを施している.6は体部と口縁部の境に段を有し,口縁部が外傾して開く.体部に箆削り,口縁部になでを施す.7は口縁部が外反する.5~7はいずれも成形手法が同一の坏形土器である.古墳時代後期.8の甕形土器は口縁部が外反ぎみに開いて立ち上がる.9は後期弥生土器の底部で,付加条縄文第一種を押捺し,底面に布目痕が存在する.第二号溝状遺構出土.
 10の底部は付加条縄文第一種を施文し,底面に布目痕をもつ後期弥生土器である.11は坏底部と脚部が残る高坏形土器で,箆による調整が認められる.12は坩形土器の胴部破片と思われる.12は甕または壺形土器の破片で底部が突出する.器面は箆による縦位の調整痕を顕著に残している.古墳時代中期.第三号溝状遺構出土.

第三四図 溝状遺物実測図